本社を宇都宮市問屋町に、支店を鹿沼市流通センター内に構え、県内を中心に酒類卸売業を営む 株式会社横倉本店様の物流倉庫の前に立つと、そのお酒の量に圧倒されます。 これが全部胃袋に入るのだろうかと思うと、胃袋のエネルギーも、侮りがたい思いがしてしまいます。 創立は1951年という歴史を持ちますが、創業は明治10年ということですから、名実ともに老舗 というにふさわしい歴史を誇ります。 歴史だけでなく、最近では地元の蔵元様などとのコラボで、カクテルや父の日向けの美肌石鹸との セット商品など、新たな商材の開拓にも積極的に取り組んでいます。 一方、90年代後半から、酒類流通業界にも、物流合理化のうねりが押し寄せ、大手のコンビニチェーンが、 それまでの個店配送から、センターへの一括配送に切換えるなど、卸業者への要求は時代を背景として、強くなってきました。 それは、単に商品の配達先が変わるだけではありません。センターでの検品レスに対応できるだけの、仕組みの構築と出荷精度を求められたのでした。2004年のことです。 先進地の物流システムを見学し、現場の状況を見つめる中で、横倉本店様に最も適した物流システムの構築に向けて、プロジェクトが動き始めました。プロジェクトの推進を行った 石坂常務にお話を伺いました。
(株)横倉本店 宇都宮本社
(株)横倉本店 鹿沼支店
何と言っても、現場の混乱をできる限り少なくすることに腐心しました。トップダウンではなく、現場の意向を出来るだけ取り入れ、使いやすさを追求しなければスムースに進まないであろうことは 容易に想像できました。 3000を超えるアイテム数、EOSの受信時刻と、配送までの時間的な余裕。現場の抵抗や ムダな作業の発生など、事前に考えておかなければならないことばかりでした。 鹿沼支店は開設よりラックは設置されており、移行しやすい環境にありましたが、宇都宮の本社は、 平積みが多く、集合体を生かしたゾーン管理とロケ管理の併用からスタートし、徐々にラックの導入をおこないました。 商品の置いてある場所を大きく変えずに移行を考えた結果、実際の運用では、思いのほか混乱も少なかったと思っています。 現場でも違和感なく使い始めてもらえました。 鹿沼支店での移行に問題のないことが確認できましたので、翌年には、宇都宮本社への 導入をおこないました。
お客様への納品実績が蓄積されていますので、これを手軽に参照できるようになったのが、 メリットとしてありますね。新人だったり、担当が休みだったり、土曜日の当番だったりする場合は、 電話注文を受けても要領を得ない場合が多々あったものです。 ビール2ケースなどと言われてもね。過去の購買履歴が頻度順に表示されるため、経験に頼ることなく「生搾り350 ミリ缶2ケースですね」と応対することができるようになりました。だれでも注文を受けられる環境になりましたね。 焼酎やワイン、日本酒ですと、商品名が読めないものも少なくないのです。ワインの銘柄なんて 覚えきれるものではないですからね。しかし過去に買っていただいたことのある商品の中から 見つけるだけであれば、ほとんどは対応できるものです。
蓄積された購買のデータは、お客様にとっても欲しい情報の一つだと思いますね。この地域では何が売れているのか、 どの商品を店頭に置けば売れるのかは、酒販店様にとって有益な情報ですね。これらの情報を提供できる手だてがあるのではないかと考えています。 タブレットなどでこういったデータを見ながら商談ができれば、営業パーソンにとって、 より精度の高い活動ができるようになるのではないかと思います。喫緊の課題でもあり、是非取り組みたいと考えております。 お客様とのコミュニケーションツールとして、蓄積されたデータを活用する方法を模索したいと思います。